補聴言語学科News
今日は補聴言語学科1年生の授業をご紹介します。
その科目とは「コミュニケーション概論」です。
コミュニケーションの授業って?と思われる方もいるかもしれませんが、
我々言語聴覚士にとって「コミュニケーション」とは非常に重要なものなのです。
言語聴覚士は「言語」と「聴覚」の療法士なのだから、
患者さんと会話をすることが仕事なのね、とよく言われます。
会話をすることが仕事なので
“コミュニケーションが大事”なのは当然では?ともよく言われます。
しかし、このコミュニケーション、本当に難しいんです……!!
「コミュニケーション」には、「種類」があります。
長年一緒に暮らす家族との何気ない日常の会話もコミュニケーション、
中の良い友人と好きな音楽について語り合うのもコミュニケーション、
初めて会う人と自己紹介しあうのもコミュニケーション、
もちろん、患者さんと会話するのもコミュニケーションです。
どれもコミュニケーションですが、
実際に会話するとき、
言葉遣いや相槌の仕方など、皆さんも無意識に変えているのではないでしょうか。
家族に話す時は緊張せずくだけた口調で、
しかし初対面の人には緊張し敬語を使って、などなど。
1年生の「コミュニケーション概論」では、こういったコミュニケーションの違いから学びます。
違いを理解してもらったうえで、
では、患者さんとのコミュニケーションはどうやって行うのが良いのか?
を考えます。
我々が関わる患者さん達は、何らかの困難を抱えておられる一人の「人」なのです。
それぞれの生活があって、色々な思いも抱えておられます。
言語障害ばかりに注目するのではなく、
その人一人ひとりに合わせて思いを聴いていく、
それが言語聴覚士のコミュニケーションなのです。
その日、その時々の患者さんの様子に合わせて
どのコミュニケーション方法を使うのかを考え、
どのような会話をして、
どのような思いを聴こうか、
と毎回目的をもって会話を展開します。
どうでしょう、言語聴覚士が行うコミュニケーションの難しさが伝わりましたでしょうか。
難しくてできないよ!と思われる方もいるかもしれません。
難しいかもしれませんが、
まずは患者さんとの会話を楽しむ、ということも大切です。
授業では、まずクラスメイト同士の会話演習から始まります。
入学したばかりのクラスメイト同士で会話をし、
相手を知るにはどうするか、
自分の会話の時の癖は何か、
を振り返りながら会話をします。
その後は、模擬患者さんを想定し、
こんな時どんな風に会話する?をグループで考えます。
正解はありません。
他のグループの考えを聴いて発見することもあります。
考えることが、良いコミュニケーション手段を学ぶことになるのです。
いかがだったでしょうか。
このあとに続く「コミュニケーション概論」の後半は、
患者さん役を演じる教員との会話演習、
実際の失語症者さん達の会話演習、とより実践的な演習に入っていきます。
後半の様子は、後日掲載いたしますね。