義肢装具学科News

2年生 下腿切断者の理学療法について講義が行われました。

2年生は下腿切断者の理学療法について、塚田晋太朗先生(理学療法士)にご講義いただきましたのでその様子をレポートします!

断端形成

病気やケガにより四肢を切断した後に、残存する断端を義足装着に適した形状に形成することを断端形成といいます。

断端形成を適切に行うことで、ソケットの装着を容易にする、断端に傷を作りにくい、断端の力を効率的に伝えられるなど、義足をより快適に装着できるようになります。

断端形成には大きく分けて次の2つの方法があります。

  • ソフトドレッシング(soft dressing)
  • リジッドドレッシング(rigid dressing)

それぞれ特徴がありますが、断端を適切に締め付けるてソケットの装着に適した形状に断端を成熟させる、ということが共通しています。

スイカは普通、丸い形をしています。スイカがまだ小さいうちにガラス瓶の中に入れ、スイカが育っていくとその瓶の形状になっていき、変わった形のスイカができ上がる、という方法があります。なかなかイメージが難しいと思いますが、断端形成もこのようなものと理解してください。

義足装着に適した断端の形状は、円柱形になります。

ソフトドレッシング

ソフトドレッシングは、弾性包帯で断端を締め付けて、円柱形に形作る方法です。

塚田先生のデモンストレーションに続いて学生も挑戦しますが、やってみるとこれが意外と難しい!

ただ包帯を巻いているように見えますが、断端の遠位部ほどきつく、近位部ほど緩くなるように巻き上げる必要があるため、弾性包帯を引っ張る際に力加減が必要となります。遠位部よりも近位部がきつくなると、うっ血を起こしたり、断端が球根状になってしまったりします。断端に悪影響があるのはもちろん、球根状の断端はソケットの適合が非常に難しくなるので、避けなければいけません。

リジッドドレッシング

リジッドドレッシングは、切断術直後の断端にギプス包帯を巻いてギプスソケットを作る方法です。

弾性包帯を用いるソフトドレッシングのように頻繁に巻き直したりすることがないため、断端の浮腫を防止できる、創治癒が促進される、疼痛が少ないなどのメリットがありますが、ギプス包帯を巻くために性格が義肢適合技術と経験が求められる、断端の状態を外部から確認できない、断端の変化への対応が難しいなど、デメリットもあり昨今ではほとんど行われていません。

関節可動域運動・筋力増強運動

切断術後には、関節可動域と筋力の維持・改善のために運動療法を行います。

義足装着に適した断端が形成されていても、関節や筋力に問題があっては立位や歩行を安定して行うことができません。

関節可動域運動

関節可動域の維持・改善を目的として行うものです。 特に義足では、アライメントに関わるためとても重要となります。

関節を曲げ伸ばしすることで、関節可動域の維持・改善を行います。骨折したことがある方は、ギプス固定後に関節が固まって動かなくなってしまった(関節拘縮といいます)、という経験があるのではないでしょうか。

下肢切断の場合、義足ができ上がるまでは歩くことはもちろん、立つこともできないので基本的にベッドの上で過ごすか、椅子や車椅子で過ごすことが多くなります。そのときの膝関節は屈曲しています。長時間にわたり膝関節を屈曲した姿勢を取るため、屈曲拘縮を起こすことがあります。これを防止するために、関節可動域運動は重要ですね。

筋力増強運動

筋力増強、というとハードな筋肉トレーニングを思い浮かべるかもしれませんね。ですが、ボディビルダーのように筋肉ムキムキになることを目指すものではなく、切断前の筋力を維持するためのものになります。

人の身体は、1週間も寝たきりで過ごしているとすぐに筋力が低下してしまいます。筋力が低下すると、立位が安定しない、歩行時に義足を前方に振り出せない、体重を支持できない、転倒しやすくなるなど、義足を使用することが難しくなってしまいます。

下腿切断者の理学療法

続いて、下腿義足Ⅰでもお世話になっている義足ユーザーの方にご協力いただいて、実際の下腿切断者に対する理学療法を実演していただきました。

義足を装着して、立位練習から歩行練習へと移ります。このときには、義足のアライメントも重要となるので、理学療法士と連携しながら調整を行います。

塚田先生より、

「義肢装具士は下(義足)から、理学療法士は上(身体)から見て評価する。」

「主として見ている対象が違う、それが専門性の違い。」

「それぞれの専門性の下に評価し、改善していく。」

というお話をしていただきました。

この後、初めての臨床実習を控えた2年生にとって、多職種連携についても学ぶ良い機会となったのではないでしょうか。

塚田先生、本年度もご講義ありがとうございました!