義肢装具学科News
2年生は下肢装具Ⅰ(実習)にて、脳卒中片麻痺に対する短下肢装具の製作実習に取り組んでいます。
前回の講義レポート(2年生 短下肢装具の陽性モデル修正を行いました。)では、陽性モデル修正の様子をレポートしました。
今回は、短下肢装具の完成までの様子をレポートします!
トリミング
義肢や装具の構成要素のうち主にプラスチックで製作される部分に切削加工を行い、機能的かつ身体に危険が無い形状に仕上げる工程をトリミングといいます。
義肢のソケットや装具の大部分はプラスチックで製作されるので、トリミングはあらゆる義肢・装具で行われる工程ということになります。
トリミングは、製品の見栄えにも関わるため、必ず身に付けなければならない基本工作技術になります。
カービングマシンという専用の切削機械でプラスチックの断面とヘリを切削します。今回製作する短下肢装具は、装具の可撓性(プラスチックの撓みやすさ)によって足関節機能を補助します。可撓性は、装具の形状、つまりプラスチックの削り加減によって決定されるため、正確にトリミングを行う必要があります。
機能的に重要であることに加え、装着する方の身体を傷つけるようなことがあってはならないため、ヘリを丸く面取りすることにも注意が必要です。
ガタガタにならないように、見栄えよく、かつ、安心・安全に使えるように加工してくださいね!
バンドの縫製・取付け
装具はバンドによって身体に固定します。このバンドは工業用ミシンで縫製しますが、義肢装具士養成校に入学して「義肢装具士はミシンまで使うんですか!?」と驚く人が多いですね。
義肢装具士は、ひとつのモノを作るのでも石膏・プラスチック・木材・金属・皮革・布などのあらゆる異種材料を扱うので、モノづくりに関わる職種の中でも特殊かもしれません。
今回はバンドの材料に、株式会社クラレのクラリーノとマジックテープを使用します。クラリーノとマジックテープはそれぞれ商品名(商標)なので、一般名称は人工皮革と面ファスナーですね。日本中すべての義肢製作所でクラリーノとマジックテープを使用しているわけでもないので、商品名(商標)と一般名称は分けて理解しましょう。
ミシンで縫製したベルトを装具本体にカシメ打ちします。カシメは物と物を留めて繋ぐ「かしめる」という道具が語源とされています。カシメは義肢装具だけではなく、衣料品など日常生活品でも多数使われていますね。
これで採型から始まった短下肢装具も完成となりました!
次回は、いよいよ製作した短下肢装具を装着する適合実習の様子をレポートします!