義肢装具学科News
2年生は下肢装具Ⅰ(実習)にて、脳卒中片麻痺に対する短下肢装具の製作実習に取り組んでいます。
前回の講義レポート(2年生 短下肢装具の採型を行いました。)では、採型の様子をレポートしました。
今回は、装具装着部位に適した形状にギプスモデルを加工する、陽性モデル修正の様子をレポートします!
短下肢装具の陽性モデル修正
採型によって得た身体部位のコピーを陰性モデル、これに石膏を流し込んだものを陽性モデルと言います。この陽性モデルを義足装着に適した形状に、「削る・(石膏を)盛る」などの修正を施す工程を、陽性モデル修正といいます。
詳しくは、3年生 陽性モデル修正の練習を行いました。をご覧ください。
陽性モデル修正は、削り修正と盛り修正の2つの工程で行います。
削り修正
陽性モデル表面の凹凸を無くし、装具の装着部位に沿った形状に加工する工程を削り修正といいます。
陽性モデルを削る前に、アライメント設定を行います。アライメントは、少し難しい概念になるので説明は省略しますが、義肢や装具を装着してヒトが立つ・歩くうえでとても重要なものになります。ここでのアライメント設定が不適切であると、装着してもうまく立つこと、歩くことが難しくなってしまうので、慎重に行いましょう。
サーフォームファイルという金属製のヤスリを用いて、ガリガリと表面を削っていきます。やみくもに削るのではなく、身体の解剖学的特徴を意識して削っていきます。1年次の解剖学の知識がここでも活かされます。
盛り修正
陽性モデルに新たに石膏を盛り付けて、形状を整える、変更する工程を盛り修正といいます。
なぜ、せっかく得た身体部位そのもののコピーである陽性モデルの形状を変更する必要があるのか?
装具本体は、プラスチックを成形して作られます。当然、プラスチックは身体よりも硬い素材ですので、この硬いプラスチックが骨の突起部などに接触してしまうと、ケガをしてしまう場合があります。
治療のために装着する装具で、新たにキズを負ってしまっては本末転倒ですし、快適に装着していただくことができなくなってしまうので、骨の突起部などケガを負う可能性のある部位に装具との隙間を作るために、石膏を盛り付けて形状を変更する、というわけです。
ケガを避けるためとはいえ、あまりにも多く石膏を盛り付けてしまうと、今度は装具がぶかぶかとなり、装具本来の目的を達成することができなくなってしまうため、最小限にとどめる必要があります。
元の形状をできるだけ損なわないように、必要最小限の石膏を盛り付けて形状を整えます。
陽性モデル修正が義肢装具の適合の良し悪しを決定すると言っても過言ではないため、正確に行わなければいけません。使用される方の身体形状を意識しながら、正確な作業を心がけましょう!
次回は陽性モデルの形状にプラスチックシート材を沿わせる「プラスチックモールド成型」の様子をレポートします!
短下肢装具について学べるオープンキャンパスを開催!
体験授業で脳卒中片麻痺の短下肢装具について学べるオープンキャンパスを5月13日(土)に開催します!体験実習では、短下肢装具の採型を体験していただきますので、義肢装具士のお仕事に興味のある方はぜひご参加ください!
オープンキャンパスについて詳しくは5月13日(土)短下肢装具の採型をしてみよう!をご覧ください。