義肢装具学科News
3年生は大腿義足(実習)にて、吸着式大腿義足(四辺形ソケット)の製作実習に取り組んでいます。
前回のレポート(3年生 大腿義足の陽性モデル修正を行いました。)では、陽性モデル修正(削り修正)の様子をレポートしました。
今回は大腿義足ソケットの真空成型の様子をレポートします!
真空成型とは?
今回製作する吸着式大腿義足(四辺形ソケット)では、ソケットの材質に樹脂シート材を使用します。樹脂シート材は、その名称の通りシート(板状)なので、これを立体であるソケットの形状に成形する必要があります。
プラスチックの成型方法には、射出成型、ブロー成型、押出成型、真空成型などありますが、義肢ソケットの製作には真空成型が行われています。
義肢ソケットの真空成型は、使用するプラスチック材料の形態によってさらに2つに分けられます。
液体樹脂を使う方法
1つ目は、液体樹脂を使う方法です。
陽性モデルに離型フィルムを被せ、その上からソケットの主材となる積層材(ナイロン、カーボン繊維、ガラス繊維など)を積層(ラミネート)し、再度離型フィルムを被せます。そして、真空ポンプで1枚目と2枚目の離型フィルム内の空気を吸い出し、最後に被せた離型フィルム内に液体樹脂(液体プラスチック)を流し込むと、2枚の離型フィルムの間が真空状態となっているため積層材に染み込んでいきます。積層材の全体に液体樹脂が染み渡り、化学反応によって完全に硬化した後に、内部の陽性モデルを除去することで、内部が中空になったソケットを得ることができます。この真空成型法をラミネーションと呼んでいます。
樹脂シートを使う方法
2つ目は、樹脂シートを使う方法です。
上記の液体樹脂と異なり、シート状(板状)の樹脂を使用します。液体樹脂と異なり、固体なのでこのままでは陽性モデルの形状に加工できません。ですので、樹脂シートを金属製の2枚の枠に挟み、これを高温のオーブンに入れて軟化させます。軟化して垂れ下がった樹脂シートを裏返すとドーム状になるので、これを陽性モデルに被せ、下方から真空ポンプで吸引することで、軟化した樹脂シートが陽性モデルに密着します。冷えると再び固体に戻るので、液体樹脂を使った場合と同じく、内部の陽性モデルを除去することで、ソケットを得ることができます。今回のソケットもこちらの方法で成型しました。
実際の映像はこちら
それでは、百聞は一見に如かず、ということで実際に真空成型をしている様子をご覧ください。
高温で軟化した樹脂シートをオーブンから取り出し、陽性モデルに被せ、真空ポンプのスイッチを入れると、「スーッ・・・、ピタッ!」と形状に沿う様子がお分かりいただけると思います。
この方法によるソケットの成型は、3回目になるので手慣れたものですね!とても手際よく行えていました。
この後、陽性モデルを取り出し、削り加工を行ってソケットが出来上がりました。
次回は、いよいよ義足として組み上げるベンチアライメントの様子をレポートします!