3年生 IRCソケット製作実習レポート④!
2017/09/30
9月初めから製作してきた大腿義足(坐骨収納型ソケット)もベンチアライメントまで完成し、いよいよ適合実習を迎えました。
採型、陽性モデル修正に続き、今回も香川先生にご講義いただきました。
切断者の方に義足を装着していただく前に、ソケットの内面を触って危険な箇所はないか、ザラザラして着け心地が悪くなるような箇所はないか、ねじの緩みがないかなど、最終確認を行います。「自分で装着したい、と思えるようなモノづくりが大切」というお話しをしていただきました。
実際にモデル被験者に装着していただき、まずはソケットの適合状態をチェックします。
坐骨収納型ソケットは、特に坐骨結節の適合状況が重要です。
坐骨結節とソケットの坐骨収納部に指を入れ、指が両者に挟まれれば、まずはこの部位については正しくソケットが製作できていると言えます。あるいは、この箇所が不適合であれば採型から作り直すことになります。
次に、座位(椅子などに座った姿勢)における適合状況を確認します。日常生活の中で、立ったり座ったりする場面は何度もあります。基本的に義足は立位を取り、歩行をすることが大きな目的となりますが、生活の場面で違和感なく使用できることも重要です。
香川先生より、不適合な箇所について具体的な修正方法の説明をしていただきました。出来上がったソケットの形状は、陽性モデルの形状を反映しています。従って、なぜその箇所が不適合となったのか、陽性モデル修正まで立ち返って検討することが重要となります。採型から始まっている1つ1つの正確な作業の積み重ねが、良い適合につながるということを忘れずに!
※プライバシー保護のため、画像を一部加工しています。
坐骨結節周辺のもうひとつのチェックポイント。
採寸時の骨M-L径が適切、かつその後の陽性モデル修正が適切であれば、坐骨収納型ソケットの最大の特徴である「骨ロック」が実現できます。これにより、大腿骨を内転位に保持し、正常歩行に近い、安定性のよい歩容(歩き姿)が得られます。
こちらの学生は、陽性モデル修正時にいろいろ試行錯誤をしていましたが、どうやらソケット適合は上手くいったようですね!
「こうしたから」「こうなった」という原因と結果を結びつけて考察することが、次に製作するときのヒントになりますね!
より良いソケットの適合が得られたところで、スタティックアライメント調整に移行します。静止立位におけるアライメントが適切か、安全に試歩行が行えるかを確認します!
※プライバシー保護のため、画像を一部加工しています。
最後にダイナミックアライメント調整を行います。
2年次のPTB式下腿義足で初めて義足歩行を目にした時は、先生が指摘するアライメント異常に気がつかず、また、その対処方法に四苦八苦していました。しかし、学習を重ねた今では、しっかり自身が判断し、アライメント異常に対処できるようになりました。「なぜこうなったのか」という根本的な理由についてクラスメイト同士で議論することができるようになったことも大きな成長だと感じます。
モデル被験者に聞きながら恐る恐る行っていた調整も、スムーズに行えるようになりました。「調整の主導権は、調整する義肢装具士が取らないといけない」と何度も先生に言われていましたが、それを実践できるようになりましたね!
※プライバシー保護のため、画像を一部加工しています。
義肢装具の提供を通して、患者様、切断者の方に寄り添うパートナーとして皆さんが活躍する日が楽しみですね!
前期の四辺形ソケットから始まった大腿義足の製作実習はこれで終了となります。卒業後、臨床で積極的に大腿義足の製作に携わる人、そうでない人もいると思いますが、香川先生はじめ、先生方に教えていただいた知識と技術をレポートにしっかりとまとめておきましょう!
これで3年生の製作実習は、残すところ上肢装具のみとなりました。その様子もレポートして行きます!