2010年02月25日

海外で活躍する卒業生

 2月20日は言語聴覚士の国家試験がありました。今年も多くの言語聴覚士が生まれ、各地域の病院や施設などで働いていくことになるかと思います。

 現在言語聴覚士のほとんどが国内で働いますが、海外で働く言語聴覚士も存在します。その中で今回、青年海外協力隊で働く卒業生からメッセージを頂きましたので紹介します。


 Bula(Fiji語でこんにちは)!

 私は今、南太平洋に浮かぶ島国、Fijiにいます。国際協力機構JICAの青年海外協力隊員(職種:言語聴覚士)として昨年の6月にFijiに赴任しました。使用言語(公用語は英語)には相変わらず四苦八苦(相手の話す内容はある程度はわかるものの、喚語困難、言いよどみ、錯語・・・患者さんの気持ちを現在痛感中)していますが、生活にはすっかり慣れ、日々迷いながらも楽しく活動をしています。


 私の赴任先は首都、SuvaにあるSuva Special School(Suva近郊に住む6~18歳までの知的障がい児、約140名が在籍)。ここで私はSTとして活動を行っています。FijiにはSTがおらず、Special Schoolで教員が言語指導を含めた授業全般を行っていますが、日本の特殊教育課程に相当する教員養成課程が存在するにも関わらず、多くの先生は個々の子どもの発達段階を理解していないのが現状です。そのような任地で、私は個別言語指導よりもむしろ、先生に向けた指導法の提案や、情報共有に重点を置いた活動を行っています。具体的には子ども達への関わり方・働きかけ方を観てもらい、何を目的にどう関わった結果、どのような変化がみられたかを伝えていく活動です。この活動を通して、私の任期終了後、先生方に子ども達の発達を促す積極的な働きかけを継続してもらうことが、私の最終目標です。その目標達成のため、先生方との信頼関係を構築すべく、日々奮闘中です(使用言語だけでなく、生活環境や文化も全く異なるため、関係作りには時間と根気が勝負!)。


 学校の子ども達はダウン症・自閉症・AD/HD等、日本の言語発達障がい児と障がい自体は変わりませんが、とにかく元気いっぱい。授業中もじっとしていることが大の苦手です。また公用語が理解できない子どもも多いため、公用語の他にFiji語やHindi語(Fijiの人口の約4割強がインドからの移民)で彼らに話しかけなければならず、私の頭は大混乱。しかし、子ども達はどんなに叱られても「Teacher××」ととびきりの笑顔で駆け寄ってきてくれ、私の活力源になっています。少しでも彼らの発達を伸ばしたい・・・、そのための環境づくりが私の活動の要です。


 青年海外協力隊員としての任期は2年。既に8ヶ月が過ぎようとしていますが、先述の目標達成に向けて、日々の健康に留意しながら(何をするにも健康第一ですよね)、赴任先の先生方と協力して充実した活動を行っていきたいと思っています。


現在真夏のFijiより 
 聴能言語学科 卒業生(11期)

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