当学院と同じ珪山グループ内に若宮診療所があります。
今日は、その診療所の言語聴覚士のA先生(学院の卒業生)に
最先端の聴覚障害へのアプローチについて紹介してもらいます。
ABIは、聞こえの細胞も神経も壊れてしまい補聴器や人工内耳
では効果がない重篤な聴覚障害の方に、新しい聞こえを提供する
ものです。
非常に高度な医療技術なので仕組みが難しいのですが、
ごく簡単にいえば、“手術で脳幹に直接、電極を貼り付け、そこから
音の刺激を脳に送ることによって、「音を感じる」こと”が可能になる
のです。
しかし、そこまで高度な治療を提供できる医療機関は少なく、
日本ではまだ私が担当している患者さまを含め9例しか手術が
行われていません。
また、単に手術をすれば聞こえるようになるという訳ではなく、
手術前後に言語聴覚士によるきめ細かな指導が重要なのです。
その為、一人の患者様とは、手術前から、名古屋大学付属病院の
脳神経外科・耳鼻咽喉科の医師を中心としたチームの一員として
関わりが始まります。
責務の重さに緊張もしますが、最先端の医療技術や、その後の
患者さまの「聞こえ」の経過を見ることができる大変やりがいのある
仕事です。
その貴重な臨床経験や患者さまの声を、実習や講義を通して学院の
学生たちに伝えていきたいと思っています。
< ABI本体 >
< ABIの手術場面 >