先日、とても感動的な出来事がありました。
4月末から学内で行ってきた学内臨床の最終日の出来事です。学内臨床とは、教員の受け持っている患者様を学生グループで半年間担当し、教員の指導のもと検査・評価・訓練を実施していく臨床のことです。学生にとっては臨床に出る前にグループで取り組める安心感もあり、教員のきめ細やかな指導を受けられる貴重な機会となっています。毎年、参加した学生からは好評です。
その最終日、学生たちは担当のお子さんに寄せ書きと賞状を渡したのですが、学生が文面を読み上げると、お子さんが涙を流したのです! 学生先生たちとのお別れが悲しくなったのでしょう。その様子を見ていたお母さんも目を潤ませ、学生たちも教員も感極まってとても感動的な時間となりました。
この半年間、学内臨床では、学生たちが毎回みんなで工夫しながら手作り教材を作ったり、お子さんの好きなキャラクターでごほうびシールを使ったりするなど、全員でお子さんのことを考えながら取り組んできました。
お子さんの涙は、学生たちの思いがしっかり届いた証拠だと思います。お互いの心が通った瞬間に立ち会えて、教員としても本当に学内臨床をやってきて良かったなあ~と感動しました。
学内臨床は、学生にとっても労力を要し、教員にとっても毎回の指導は根気の要る作業であるのも事実です。しかしそれよりも、学生にとって半年間やり遂げた達成感や、そこから得た学びはかけがえのない収穫です。教員にとっても今回のような感動的なシーンに出会えたりすると学生・患者様双方にとって本当に意義深い時間だったなあと感じることが出来ます。
最後に、学内臨床を終えての学生たちの感想文を一部ここに紹介します。
「1人の患者を数人で担当することで、自分では思いつかない視点を知ることや、他者の臨床を見て、良いことばかけを知ること、また、自分の臨床をビデオで振り返ることにより、客観的に訓練者としての自分を見ることができました。」
「また、毎回、先生から丁寧なフィードバックを受けることができました。ヒントをどのタイミングで入れていくか、どのような反応があった時に介入していくか、その行動に対しては怒るべきか流すべきか等、STならではの視点はフィードバック中に気付かされることが多く、反省の連続でした。授業で、STが訓練中にとる行動は全て理由を説明できなければいけない、と学びましたが、本当にその通りだと思いました。」
「最終日に児やお母様が涙を流すのを見て、関わってきた半年間は決して無駄ではなかったと感じることができました。訓練や勉強が面白いと思ってもらいたいという思いでやってきましたが、それが伝わったのではないかと思います。しかし、涙を流すことは全く想像もしていなかったので、非常に驚くと同時にとても愛おしく感じました。この時の感動は忘れません。」