『スポーツ用義足』の適合実習が行われました!
2020/03/16
前回のブログでは、スポーツ用義足の製作実習をレポートしました。
完成したスポーツ用義足を実際に装着してもらう適合実習が行われましたので、その様子をレポートします!
自分が製作したスポーツ用義足で本当に走ることができるのか、学生たちは期待と不安を胸についにこの日を迎えました。
走行では、義足の各部に大きな負荷が加わるため、いつも以上に念入りにネジの締め付け具合を確認します。
ほとんどのモデルさんがこの日初めてスポーツ用義足を装着します。常用義足とは異なる装着感に最初は戸惑っていましたが、しばらくすると「走れそう!」とのこと。
いざ、走行!
自分が製作したスポーツ用義足でモデルさんが走る姿を見て、学生たちから歓声が上がります。
「自分で風を切って進む感覚を、義足になって何十年ぶりかで思い出したよ!楽しい!!」と、モデルさんもとても嬉しそうでした。
常用義足と同じく、スポーツ用義足もアライメント調整が重要です。
歩行と走行では、アライメント理論が異なると考えられていますが、まだ学術的な研究がされていないのが現状です。これが、限られた義肢装具士にしかスポーツ用義足は製作できない、と一般的に思われている理由のひとつかもしれません。
今回、スポーツ用義足の製作実習を行った学生の感想を掲載します。
私は、スポーツ用義足を製作できるのはごく一部の限られた義肢装具士のみだと思っていました。製作実習でスポーツ用義足の製作実習を行うと聞いたときには、はたして自分にできるだろうか、という疑問と不安を感じました。しかし、自分の製作したスポーツ用義足を装着して、モデル様に走ってもらう姿を想像すると、やはり製作できる嬉しさの方が強く、この製作実習をとても楽しみにしていました。
製作実習を通して、足部が「板バネ」と呼ばれる理由、特徴的な形状の理由、取り付け位置の理由、アライメントの調整方法などを先生から教えていただいたときにはとてもワクワクしました。
常用義足では、ソケットを肌色で着色することが基本ですが、スポーツ用義足では自分の好きな色や柄で良いとのことだったので、いつも以上に製作にも熱が入りました。
適合実習では、装着したモデル様から「カッコいい!」と言っていただけたことに加え、自分が製作したスポーツ用義足で実際に走る姿を見て、心の底から湧き上がる気持ちの高揚を感じました。アライメント調整を行っているときは、純粋に楽しかったです。この感覚は、いままで製作してきた義肢装具ではなかったものなので、とても新鮮に感じました。
今回の経験が最初で最後にならないよう、常用義足だけではなく、スポーツ用義足にも携われるような義肢装具士になりたいと強く思いました。
義肢装具士養成校初となるスポーツ用義足の製作実習を行いました。アライメントだけではなく、製作理論も確立されていない分野ですが、特別な義肢装具士にしかできない技術、というわけではないことが分かったと思います。
将来、パラアスリートの横でスポーツ用義足の調整を行う義肢装具士の中に、本校の学生の姿があるかもしれません。そんな日が来ることを期待しています。