2年生 スポーツ用義足の適合実習が行われました!
2021/02/24
2年生は、10月から「スポーツ用義足」の製作実習に取り組んできました。
今回は、製作から適合実習の様子をレポートします!
●スポーツ用義足
通常の歩行の範囲を超えた運動となる“走る・跳ぶ”ことに特化し、ジョギング程度の軽いスポーツから、パラリンピックに代表される本格的な陸上競技まで、幅広く対応できる義足を総称してスポーツ用義足といいます。対して、日常生活などで歩行を目的として使用する義足を常用義足といいます。
本学では、全国の義肢装具士養成校に先駆けて「スポーツ用義足」の製作実習を実施しています。義足使用者をモデルに、切断端の評価・採型・製作・適合を学生が行い、義足使用者の様々なニーズに対応できる知識と技術を習得できます。
ソケットを製作し足部の取り付け位置を決める工程です。
位置や角度の調整は後からでも可能ですが、調整範囲に限度があるため初期設定位置がとても重要になります。
学生同士で試行錯誤しながら、最適な位置を探しています。
今回使用する足部“LAPOC SP1100 KATANA”の設定位置です。
スポーツ用義足という分野は、まだ理論的に確立されていない部分が多く、臨床現場でも義肢装具士が試行錯誤しながら製作しているというのが現状です。
この製作実習を通して学生たちがスポーツ用義足に興味を持ち、さらに深い学びに繋げて行くことを期待しています。
完成したスポーツ用義足の撮影会が始まりました。
「せっかくだからカッコよく撮りたい!」と撮影にも工夫を凝らしていますね。
常用義足ではソケットのカラーは肌色が一般的ですが、今回はスポーツ用らしく、学生が思い思いのカラーに仕上げました!
ソケットを着色する方法や、Tシャツの柄を利用する方法など、カラフルなソケットを製作する方法についても学習しました。
最近は義足を隠さず、そのまま見せる形で生活をされている方も増えるなど、義足使用者の意識も変化してきています。
そのため、常用義足でも“かっこいい”とか“かわいい”模様やデザインが求められるようになってきました。
常用義足と同じく、スポーツ用義足もアライメント調整が重要です。
歩行と走行では、アライメント理論が異なると考えられていますが、まだ学術的な研究がされていないのが現状です。これが、限られた義肢装具士にしかスポーツ用義足は製作できない、と一般的に思われている理由のひとつかもしれません。
義肢装具士養成校初となるスポーツ用義足の製作実習を行いました。アライメントだけではなく、製作理論も確立されていない分野ですが、特別な義肢装具士にしかできない技術、というわけではないことが分かったと思います。
将来、パラアスリートの横でスポーツ用義足の調整を行う義肢装具士の中に、本校の学生の姿があるかもしれません。そんな日が来ることを期待しています。