一般社団法人日本義肢装具士協会中部日本支部主催による「卒前新人セミナー」が3年生を対象に開催されました。 3年生は2月下旬に行われる国家試験に合格すると、この春から義肢装具士として臨床の場で働くことになります。このセミナーでは関係法規(義肢装具士法)、義肢装具士の倫理、義肢装具の支給体系、協会のあり方などについて学び、義肢装具士としての心構えを再確認します。 セミナー開始に先立ち、宇野生涯学習委員から「義肢装具士における生涯学習の重要性」についてお話しいただきました。義肢装具士がチーム医療のなかで連携する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの医療専門職では、資格取得後もさらに専門領域のスキルを高めるために自己研鑽に勤めています。義肢装具士も同じように高い専門性が求められるため、「認定義肢装具士」「専門義肢装具士」などの生涯学習制度も日本義肢装具士協会では整備されつつあります。「資格取得後もプロとして長い道のりは続く!」という熱いメッセージともに、この日のセミナーがスタートしました。 講義①:本協会のあり方 講師:坂井一浩 先生(日本義肢装具士協会 会長) 坂井会長にご来校いただき、日本義肢装具士協会のあり方についてご講義いただきました。「義肢装具士のこれから」として、専門性の強化、職域の拡大、技術革新が課題であること、今後は協会としてこれらの活動を主軸に会員をバックアップして行きたい!という心強いご講義がありました。 講義②:関係法規~義肢装具士法~ 講師:宮川拓也 先生(理事・研修副委員長) 義肢装具士になること、つまり資格を取得するということが法的に、また社会的にどのような責任や義務を持つことになるのか、分かりやすくご講義いただきました。国家試験を目前に控え、義肢装具士法について再確認できる良い機会となりました。 講義③:協会倫理綱領 講師:鈴木昭宏 先生(理事・会則検討委員長) 関係法規では、法律という明文化された誰もが守らなければいけない規則、また、法律に明文化されていなくても社会通念や一般的モラルとして判断される社会倫理について、義肢装具士の視点から分かり易くご講義いただきました。学生を卒業する彼らにとって社会人としての倫理、そして義肢装具士としての倫理を改めて考える良いきっかけになったと思います。 講義④:義肢装具の支給体系 講師:佐口明 先生(日本義肢装具士協会会員) 3年生の授業でもご講義いただいている佐口先生から、改めて義肢装具の支給体系についてご講義いただきました。講義のなかで聞いたことのある内容が多かったと思いますが、改めて質問をされると・・・・・・?国家試験の問題にも出題される範囲の講義なので、受験前の良い復習ができたのではないでしょうか。 座談会:先輩からのメッセージ 司会:千田弦 先生(日本義肢装具士協会 研修委員) このセミナーでは、昨年から「先輩からのメッセージ」と題して、卒後1 年目から4 年目までの先輩をお招きし、一緒に昼食をとりながら座談会形式で体験談を話していただく企画を行っています。昨年の学生からもたいへん好評だったため、今年は他の地域でも同じ企画が行われているようです。 左から 1年目:福島一公 さん(有限会社渡辺義肢製作所) 2年目:岩田崇宏 さん(有限会社アルテックブレース) 3年目:羽根慎太郎 さん(株式会社松本義肢製作所) 4年目:近藤菜津子 さん(東名ブレース株式会社) 最初は先輩方も学生も緊張した様子でしたが・・・・・・。 千田委員の楽しい司会もあり、次第にリラックスした雰囲気で座談会が進んで行きました。一貫制と分業制という業務形態の違い、働き出してから困ったことについて、それぞれお話をしていただきました。 学生からは、義肢装具士になってよかったと思ったこと、失敗したときの対処法、学生時代にもっと勉強しておけばよかったことなど、たくさん質問が出ましたが、皆さん的確にお答えいただき、たいへん盛り上がりました。 先輩方もこのセミナーの趣旨である「自己研鑽の大切さ」を触れられ、3年生も心に感じるところがあったようです。 セミナーの締めくくりとして、日本義肢装具士協会理事であり、中部日本支部支部長でもある中川教務主任から職能団体としての日本義肢装具士協会で活動することの意義についてお話がありました。 中川先生のお話を聞いて、社会人としての心構えを改めて再確認できた様子でした。 3年生の皆さん、いよいよ国家試験まであと僅かとなりました。ラストスパートですね! 卒業後は皆さんが学院だけでなく、日本義肢装具士協会などさまざまな場所で情報交換してくれることを期待しています。
義肢装具学科, 行事報告