本校卒業生のTさん(教員Tの同期生です)からお便りが届きました。
Tさんは日本での病院勤務を経て昨年イギリスに渡り、
大学院で修士号を取得し、現在も現地でボランティアをしています。
教員Tに時々メールで近況をお知らせしてくれる彼女ですが、
このたびブログにてその活躍の様子、イギリスの言語聴覚療法について紹介させてもらうことにしました。
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昨年9月から1年間、イギリスの大学院で
Clinical neuropsychology(神経心理学)を学びました。
留学したきっかけはいくつかありますが、
イギリス人のBarbara Wilsonという人の考え方にふれたのも一つです。
言語機能の評価方法やアプローチの仕方がとても論理的かつ実践的で、
「イギリスにはこういう評価やリハビリの方法を生み出す土壌があるのでは?そういう中で勉強してみたい」と思ったのです。
今年の9月に修士論文を提出して、一応コースは終了しました。
今は、Headwayという脳外傷の方のためのチャリティー組織でボランティアをしています。
Headwayはイギリス中に支部があり知名度も高い組織で、
スタッフは皆患者様の尊厳を守った対応をしています。
イギリスでは、公立の病院でもバザーや勉強会開催などで運営資金を調達するらしく、私にはカルチャーショックでしたが、
Headwayの支部の中でも私のいる支部では資金面でも恵まれており、
患者様はPT、OT、STによるリハビリを受けることができます。
最後に、今私が見学している集団リハの様子をお伝えします。
今、クリスマス会の催し物の練習をしています。
患者様のうち、ある人は詩を朗読する係に選ばれています。
彼らは、発話速度が速い、不明瞭、人前での発話に自信が持てない、
という問題があります。
皆の前での朗読を通して、これらの問題へのアプローチをするのが、
このアクティビティの目的のようです。
またある人は、朗読の内容に合わせて台詞の少ないお芝居をします。
彼は若い言語性の記憶障害の男性です。
人の顔はだいたい記憶でき、その人がどのような人であるか、
も覚えていることはあるようですが、名前は覚えられません。
そんな彼にとって、この時間はとても生き生きしています。
お芝居の細かい点は忘れがちですが、
朗読の内容が記憶を補ってくれるし、
お芝居は一番年若い彼が一番動きやすいからでしょう。
その他にも、お芝居で使う小道具を作る役割の人もおり、
プランニングなど行動のコントロールを向上させることも目的にしているようです。
・・・以下省略
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日本では、
医療・介護諸制度下におけるリハビリテーションが一般的な中、
チャリティー組織であってもリハビリテーションを受けられるという環境は素晴らしいですね。
Tさんには、次回また日本とイギリスのリハビリや文化的な相違点などについて、紹介してもらおうと思います。
お楽しみに・・・。